アクティビストファンドの3Dインベストメントから買収提案を受けている株式会社東北新社が3D社へ協議・交渉を打ち切る旨の通達したとのことです。(8月29日時点での秘義務誓約書に関する交渉状況に関する記事はこちら)
打ち切りの理由として、これ以上時間・労力等のコストを費やして 3D 社との協議・交渉を続けることが、東北新社として、自社の企業価値及び株主共同利益の毀損につながるおそれがあると判断したと記載されております。
東北新社が開示したプレスにおいては、3D社とのやり取りの内容が別紙として掲載されておりますが、相応の押し引きがあったことが汲み取れます。
例えば以下の記載
そもそも、貴社が東北新社の株主として法会上有する権利は別として、今回の貴社に DD を行う機会を与える意図は、何ら東北新社の義務に基づくものではなく、しかも、上述の通り、特別委員会は、現時点において貴社の今般の提案に応じることは相当ではないと考えているのであって、完全に東北新社が、上記の重大なリスクへの懸念を抱きながらも、貴社に対していわば好意で機会を与えようとするものであり、但し、かかる懸念の重大性から、東北新社が定める条件に従うことを前提としているものです。貴社は自らの我田引水な主張を一方的に行うだけであり、この大前提を全く理解されていないようであり、直ちにかかる態度を改めることを強く要請します。
※株式会社東北新社「3D Investment Partners Pte. Ltd.による当社普通株式の非公開化に関する提案の協議の結果に関するお知らせ(詳細)」より引用
3Dインベストメントは、富士ソフトやサッポロHDの投資事例においては自らがカタリストとなって存在感を発揮しておりますが、本件は秘密保持契約書締結の前段階で会社側と対立をし、交渉打ち切りになってしまいました。
東北新社の大株主をみると与党株が一定程度存在しますので、毅然と対応できたのかもしれません。
※株式会社東北新社「有価証券報告書‐第62期」より