一週間ほど前ですが、米ボストンに本拠を置くカナメ・キャピタルがプロトコーポレーションのMBOに対する質問状を公開しております。
カナメ・キャピタル:高齢創業者による駆け込み MBO に対する公開質問状
▼プロトコーポレーションのMBOの概要

※本記事作成時点の情報
カナメ・キャピタルは2024年6月に大量保有報告書を提出して以降、プロトコーポレーション株式の買い増しを進め、直近(2025年2月)の変更報告書提出時点で、8.34% の株式を保有しています。
カナメキャピタルの書簡の目次は以下
①MBOの合理性について
(1)高齢創業者がMBOを行う合理性
(2)戦略検討委員会の設置よりもMBOを選ぶ理由
②手続きの公正性について
(3)梶浦取締役の独立性
(4)マーケット・チェックを行っていない理由
(5)対抗提案を検討する姿勢
(6)社外取締役との報酬合意
(7)MBOを急ぐ理由
③価格の適正性について
(8)サム・オブ・ザ・パーツ分析
全体としては、MBO を実施すること自体の合理性や、手続きの公正性を質しております。
各論をいくつかピックアップ してみましょう(説明は管理人による要約)
▼特別委員会委員の独立性
特別委員会委員である梶浦取締役は、横山会長が理事長を務める横山国際奨学財団の創立理事であった。また、2021年度までは奨学金選考委員に名前を連ねていることが確認できる。梶浦取締役の横山国際奨学財団からの報酬受領状況及び、横山会長との間に利害関係を有しないと断定できるのか回答せよ
▼社外取締役の報酬
社外取締役は一人当たりの固定報酬が年間300万円と、わが国上場企業の最頻値とされる 600~800万円を著しく下回っており、社外取締役が十分な監督を行うための報酬が支払われているのか疑問がある。一方で、プロト・コーポレーションには社外取締役への退職慰労金制度が存在する。もし仮に、本件MBOが成立した場合に、社外取締役に対して同様の退職慰労金が支払われるのであれば、それは大株主の意向に忖度する誘引を生むことになる。退職慰労金支払いの予定があるのか否か、また、本件 MBO が成立することよって何らかの加算がされることはあるのか回答せよ
▼MBO価格の適正性
株式価値算定に当たっては市場株価法とDCF法が採用されているが、サム・オブ・ザ・パーツ分析を行うと、本件MBO価格に比べて79.9%の上振れが見込まれる。また、MBO価格のEV/EBITDA倍率が5.3倍であるところ、適切な類似企業と比較すると明らかに低すぎるマルチプルである。株式価値算定におけるサム・オブ・ザ・パーツ分析実施の有無及び、実施していないのであればプロトコーポレーションのようなコングロマリット企業において実施しないことの妥当性を説明せよ
と色々と書かれていますが、カナメ・キャピタルが求めている結論は以下部分でしょうか。

※カナメ・キャピタル「高齢創業者による駆け込み MBO に対する公開質問状」より。赤字は管理人が加筆
MBO含むTOBによる非公開化に対するエンゲージメントがここ最近急激に増えている印象がありますね。