富士ソフトがKKRによるTOBスキーム変更を受け、意見表明の変更を公表しました。(KKRのTOBスキーム変更に関する記事はこちら)
変更といいましても第 1 回公開買付けに対しては、賛同意見の表明及び応募推奨するという内容で、スキーム変更前の決定を継続しております。
第2回公開買付けに対する意見については決定しておらず、当該意見は第2回公開買付けの開始時に決定する予定とのこと。
以下、変更プレス本文
当社取締役会は、2024 年9月 26 日付の会社法第 370 条に基づく決議(取締役会の決議に代わる書面決議)において、引き続き本公開買付け(第 1 回公開買付け)に対して賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様及び本新株予約権者の皆様に対して、引き続き本公開買付け(第 1 回公開買付け)に応募することを推奨する旨の決定をいたしましたのでお知らせいたします。なお、当社取締役会は、第2回公開買付けに対する意見については決定しておらず、当該意見は第2回公開買付けの開始時に決定する予定です。
※株式会社富士ソフト「(変更)「FK 株式会社による当社株券等に対する公開買付けに関する賛同の意見表明及び応募推奨のお知らせ」の一部変更について」より
個人的に気になっていた強圧性に関する特別委員会の判断は以下のとおり。
現在 3DIP 及び Farallon は、KKRとの間で Fiduciary Out 条項を含まない応募契約を締結している。このため現時点でも既に、KKRが3DIP等の保有株式を取得する確度が高く、ベインキャピタルによる非公開化が実現する可能性は低い状況にある。本ストラクチャー変更により、公開買付者が第1回公開買付けを通じて、当社の32.68%(所有割合。以下、本(ⅸ)において同じです。)にかかる株式数を現に取得することになる。
そのため、本ストラクチャー変更前と比較して、理論上、第1回公開買付け及び第2回公開買付け(以下「第1回公開買付け等」と総称します。)が実施され、さらに、ベインキャピタルによる公開買付けが実施されたとしても、当社の最終的な株主構成として、公開買付者が上記株式数を保有し、かつ、ベインキャピタルも一定の株式数を保有するシナリオが新たに想定され得ることとなった。かかるシナリオにおいては、第1回公開買付けに応募しなかった一般株主が、当社の少数株主として残存する可能性がある。
しかし、ベインキャピタルによる公開買付けの有無及び(行われる場合の)条件の詳細が明らかではない現時点において、上記のシナリオが現実化する可能性の程度は明らかではない。また、本ストラクチャー変更前においても、第1回公開買付けとベインキャピタルによる公開買付けのいずれも成立しなかった場合に、一般株主が当社の少数株主として残存する可能性があったのであり、このような「一般株主が公開買付けの後に残存することとなるリスク」自体は従前から存在していた。
従って、現時点において、本ストラクチャー変更後に、第1回公開買付けに関する強圧性が確実に高まったと判断すべき事情は不見当である。なお、第2回公開買付けに強圧性が認められないかについては、第2回公開買付けの開始時における事情を前提として判断する予定である。
※株式会社富士ソフト「(変更)「FK 株式会社による当社株券等に対する公開買付けに関する賛同の意見表明及び応募推奨のお知らせ」の一部変更について」より。黄色下線は当サイト管理人による
黄色下線箇所、少数株主として残存したくないからKKRのTOBへのインセンティブが働いてしまうというのが”強圧性”(であるとの理解)なのですが、ストラクチャー変更前においても「一般株主が公開買付けの後に残存することとなるリスク」自体は存在していた為、強圧性が高まったとは判断すべき事情は不見当との説明。
ベインは法的拘束力のある買収提案を提出した上で、富士ソフト側の賛同が得られた場合は11月以降にTOBを開始する予定とのことですので、KKRはTOB期間を60営業日に変更すれば、強圧性等の問題をわかりやすくクリアにできたと思うのですがどうなのでしょう。
①ベインが第 1 回公開買付け終了迄に正式なTOB提案を出せるのか、②その際富士ソフトはKKRのTOBへの賛同表明を維持できるのか、③仮にKKRのTOBへの賛同表明を撤回した場合は3Dらによる第1回公開買付けへの応募は撤回されるのか、が個人的には今後気になるところです。